トリエンナーレの備忘録です。
A27のハビエル・テジェスについて。
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ハビエル・テジェスは、ベネズエラ出身、ニューヨークで活躍するアーティストです。
ハビエル・テジェス
1969年バレンシア(ベネズエラ)生まれ
ニューヨーク(米国)拠点
社会のなかで周縁に置かれたコミュニティが、人々の目には見えにくくなっている状況に焦点を当てる。ロンドン、リマ、東京、ベルリン、シドニー、リスボン、メキシコシティ、ニューヨークなど、世界各地の都市でインスタレーションや映像作品を制作。障害や精神疾患を抱える人々と協働した作品では、それぞれの場所の持つ社会的、政治的状況に関連しながら、病的であること、そして普通であることとは何かを問う。また映像制作における様々な手法を組み合わせることで、彼は古典的な神話、私的/集団的な記憶、そして歴史の新しい解釈を提示するような対話を切り拓く。
10人のベネズエラ難民のインタビューをまとめた、45分の映像作品です。
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私の知っているベネズエラといえば、シモン・ボリバルユースオーケストラ。
もともとはスズキメソッドの鈴木慎一先生の弟子、小林武史(小林健二の兄)が始めた、貧困から子供たちを救うプロジェクトが、素晴らしい音楽を奏でるオーケストラに育った、エル・システマしか知りませんでした。
本当に素晴らしいエネルギーで、このオケ大好きです。
この明るいニュースとは裏腹な、ベネズエラの現状。
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映像の中には、貧困のために国を捨てざるを得なかった10人の痛々しい証言が。
ベネズエラの政府は「この国には足りないものはなにもない」という。
しかし、我々にはなにもない。
軍での訓練中?意見を求められ、自分の思うことを述べたら、職を失い投獄された。(意訳)
ゴミ箱の残飯を食べるしかなかった。
ベネズエラからペルーのバスは200ドル。そんなお金は私たちにはない。
などなど。
英語吹き替えだから半分ほどしかわからなかったけど、家族と生き別れ、大雨に濡れ熱を出しながら、宿泊するでもなくペルーに向かう道。ペルーに入っても邪魔者扱いされ、つらい思いをしながら、それでもなんとか仕事をみつけ生きていく彼ら。
想いとかどうしたらいいとか、そういう次元じゃなくて、ただただ、ぼーっと見ていました。
自分たちを見てくれないどころか、存在すら無視する政府。
国をでて、それでも生きていこうとする彼ら。
私だったらどうするんだろう。
国を出て、家族と生き別れてまで、生に執着するのだろうか。
この映像はここ、ペルーのトゥンベスの宿泊所でのインタビューです。
いろいろ揺さぶられた映像でした。
ありがとうございました。
keroyon