今日は回顧シリーズ。久しぶりに音楽ネタです。まあまあお付き合いくだされ。
一応概要「ストラビンスキーの春の祭典」とは。
ストラビンスキーさん
1882年-1971年のロシアの作曲家で指揮者、ピアニストとして活躍。バレエ3部作「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」が有名です。…私はプルチネルラも好き。
前に調べたロシアの作曲家兼ピアニストのラフマニノフさんは1873-1943なので、時代的にほとんどかぶっていますね。
zaihamizunogotoshi.hatenablog.com
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第一次世界大戦に翻弄され、祖国に帰れなくなったラフマニノフでしたが、同じようにストラビンスキーもスイスで過ごしている間に戦争が勃発、ウクライナに帰れなくなります。そして土地は没収され生活が困窮。戦争は世界中に暗い影を落としますね…。
そしてやはりアメリカに。1939年にアメリカにわたり1945年には市民権を得て作曲活動も盛んになります。1959年には日本にも来日し、日本の作曲家武満徹を世界に紹介することになったそう。今や武満徹は世界に名だたる日本の作曲家です。その礎がストラビンスキーというのは驚きました。
春の祭典
『春の祭典』(はるのさいてん、原題フランス語:Le sacre du printemps, 英語:The rite of spring )は、ロシアの作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーが、セルゲイ・ディアギレフが率いるバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)のために作曲したバレエ音楽。1913年に完成し、同年5月29日に初演された。20世紀の近代音楽の傑作に挙げられる作品であり、複雑なリズムのクラスター、ポリフォニー、不協和音に満ちていて、初演当時怪我人も出る大騒動となったことで知られる。
私も初めは「祭典」って楽しいものだと思っていました。この曲を知り「生贄の踊り」などというタイトルを見て、驚いたのと納得したのと。それを感じてからはこの曲がすんなり腑に落ちるようになりました。
何も知らずに聞いたら、サンサーンスのように3分で帰っちゃったかもしれないです。(いや、サンサーンスは冒頭のファゴットの『首を絞めたようなアヒル』の音を聴いて、「楽器の使い方をわかってない」と怒って帰ったそうですが)
あの、ファゴットらしくない哀愁漂うアヒルの音、とてもいいと思うのです…。
曲の構成
自分が知りたかったから…。
第1部 大地の礼賛
- 序奏
- 春のきざし(乙女達の踊り)
- 誘拐
- 春の輪舞
- 敵の部族の遊戯
- 長老の行進
- 長老の大地への口づけ
- 大地の踊り
第2部 生贄の儀式
- 序奏
- 乙女の神秘的な踊り
- 選ばれし生贄への賛美
- 祖先の召還
- 祖先の儀式
- 生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)
上記Wikiより
Stravinsky: Le sacre du printemps - The Rite of Spring / Neu Nagoya Symphoniker
聴きどころ。
変拍子
変拍子とは、1小節の中の拍子の数が変わること、もしくは変わった数字(奇数)のこと。普通の曲はワルツだと3拍子、行進曲だと2拍子などと曲の間はあるテンポの中のリズム(拍数)は変化することはないが、これを変化させることを言います。
3小節ワルツっぽくて、次から2小節行進曲で、みたいな感じでしょうか。この曲は高度にそれが頻出します。2拍子3拍子4拍子だけでなく7拍子だったり9拍子だったり、また基本となる音符(3/4なら分母の4の四分音符が基本ですが)が四分音符から二分音符にも変わったりして、本当に大変なのです。
作曲したストラビンスキー自身も指揮をすることが難しく、すべて4分の4拍子に書き直した最終曲を準備したというこの曲、目まぐるしく小節ごとに拍子が変わるところが魅力です。
指揮者のあたふた(しないですよね?)する姿に注目!?
注目ポイントは、上記youtubeでは
- 「誘拐」のラスト部分、8:00-9:00の変拍子
- 「大地の踊り」15:05辺りから2拍子と3拍子が混ざり合うところ
- 「選ばれし生贄への賛美」22:50辺りはほぼ毎小節拍子が変わっています*1
- 24:45から。聞きなれてしまえば歌えますが、これを譜面に起こせと言われたら…すごいです。演奏が安定しないなぁ…
- 個人的に2700辺り「祖先の儀式」の冒頭は、ベートーベンの第九の4楽章のバスドラとファゴットのくだりとダブり好きですね。
- 「生贄の踊り」30:40からは、ストラビンスキーも振り分けられなかった変拍子をお楽しみください。
楽器の博物館
1967年版の楽器編成です。上記Wikiから引用しました。珍しい楽器は太字にしています。これらの楽器をまとめて見られるのは本当にそれだけでも貴重!(よくやったよ)
数字に太字がしてあるのは、1つは使うことが多いけれども2つもいる!というものです。ピッコロティンパニとか、私見てない…(後悔)w。
- フルート3(3番はピッコロ2番に持ち替え)
- ピッコロ1
- アルトフルート1
- オーボエ4(4番はコーラングレ2番に持ち替え)
- コーラングレ1
- クラリネット3(A管とB♭管を持ち替える。3番はバスクラリネット2番に持ち替え)
- 小クラリネット1(D管とE♭管を持ち替える)
- バスクラリネット1
- ファゴット4(4番はコントラファゴット2番に持ち替え)
- コントラファゴット1
- ホルン8(7番・8番はワグナーチューバ持ち替え)
- ピッコロトランペット(D管)1
- トランペット(C管)4(4番はバストランペット持ち替え[32])
- トロンボーン3
- チューバ2
打楽器
- ティンパニ7個(ハイBが出るピッコロ・ティンパニ1と普通のティンパニ6):奏者2人が必要
- 大太鼓
- トライアングル
- タンブリン
- タムタム
- シンバル
- ギロ
- アンティークシンバル2 : 変イ(A♭)と変ロ(B♭)
弦五部(普通は16型を当てるが、バレエのピットの上演は12型が精一杯である)
こんな大人数、バレエ音楽じゃありえないよね、まずピットに入れない。
そういうストラビンスキー的破壊的イメージも好きです♪
思い出。
ストラビンスキーの春の祭典。
これは楽器を初めて、1年半で演奏しました…。←結構過激です。
まずね。まだそのころベートーベンとモーツァルトくらいしか弾いたことがなかったので…
この音譜の上の○マークなに?から始まり。(youtube3:50あたりです。ヴィオラは写っていないので何してるかはわかりません。下にちっちゃい字で「グリッサンドをドの線で」て書いてあります。それすらも知らない初心者だった…)
これは、他の音がほとんどない中、ヴィオラ6人のソロ。期せずしてミステリアスになります。(ミステリアスに輪になって踊れ?って書いてあるけれど)21:38頃です。
大学の先輩がトップだったので、不肖ながら6番を。必ず連れて行かれるからね。出席率だけでとったsolo。申し訳ない。
これは31:40あたりですね。休符にまるがぐるぐるしてある↓ここ。(縦長の画面だとずれますね。1段目の最終小節です)
ここで必ず音を出す不届き者がいたのです。で、私も間違っちゃいけないとぐるぐるしたわけだけれど、本番直前のリハまで間違えてたのに、本番は間違えずに楽譜通り休んだ。
その途端に周りがキンチョー度max。
あのひとでさえ、やりきったんだから他の誰も失敗するわけに行かないと…。
あのキンチョー感は今でも思い出します…。逆にいえば、あの人が間違ってくれるからみんな安心してたんだね…。
あとは特殊奏法がたくさん出てきて勉強になりました。
- コル・レーニョ(弓の毛じゃなくて木側でたたく)
- フラジオレット(倍音を鳴らす)
- グリッサンド(ずぃーんって音を上げる奏法!?)
- スルポン(駒の上を弾く。おどろおどろしい音が出ます。)*2
- スルタスト(スルポンの反対で柔らかい音になります)
よく考えたら私の音の表現はここが起点かもしれません。
ストラビンスキーでも火の鳥やペトルーシュカはコレほど不協和音じゃないのにね、よほどニジンスキーが嫌いだったのかな(妄想)。しかしこの変拍子を楽譜におこすことも天才、指揮する人もすごい。私は音譜と休符しか追っていなかったよ…。
とりあえず弾ければいいのさ。
keroyon